誘ったのはどっちなのか。



フジファブリックの【銀河】を出勤時に聞くと「いざ出陣!」という気持ちになる。
仕事終わってすぐに聞いても「いざ出陣!」という気持ちになる、そういう曲なんだろうねえ。

 

河合香織 帰りたくない~少女沖縄連れ去り事件~

数年前に【セックスボランティア】で世界観を広げてくれた河合香織さんの第2弾ノンフィクション。
最近になって文庫化された本作を本屋で見たときに、河合香織というだけで即買いした。
2004年に実際に起きた誘拐事件を徹底的に取材した本作。
一週間以上もの間47歳の男に誘拐されていた10歳の少女が警察に保護された時、少女は「家には帰りたくない」と言った。
取材するにつれてどんどん明らかになってゆく少女と犯人との奇妙な関係。
私自身この事件覚えていなくも無いんだよな。
河合さんの体当たり的取材で明らかになる事実がまるで小説を読んでいるようでかなり興味深かった。
私が一番凄いと感じたのは、この本の構成。
読者のことを考えられた構成で、この事件が単なる誘拐事件では終わらせることができないという著者の事件に対する生半可ではない心持が見て取れる。
法律では解決されたこの事件だが、事件に関わる人間それぞれが未だに答えを見出せていない事実。
見つからない答えを自分なりに正当化して「逃げる」ことでこの事件を「忘れよう」と努力する人々。
「正しい(良い)」とか「間違っている(悪い)」なんて言葉は簡単に他人には言えないんだと思った。

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