the death penalty


死刑のすべて - 坂本敏夫

死刑については、以前からどうしようもなく気になっていた。
森達也さんの『死刑』や、この坂本さんの本を手に取ってはパラパラ読んでそっと棚に返すを繰り返していた。
しかし欲しい時に、ブックオフで¥105なら買わない方がバカだよな。
ということで遂に手にしてしまって読んでしまいました。

TVで「死刑確定」だの「〇〇死刑囚の死刑が執行された」だのを耳にする度に感じてきた違和感。
もちろん死刑を宣告される人間というのは、極悪非道な犯罪を犯した極悪人に変わりはない。
「こいつは死刑になって当たり前だ」とかもよく耳にする。
でもなんだか私はそうやって言う人たちに対して「そうだそうだ!」とは言えないでいる。
死刑の賛否に関して私はまだうまく意見できないでいる。
遺族や被害者の関係者側からすると、そりゃ死刑がなによりの被害者への償いになるんだろう。
だけど裁判員制度が始まってからというもの、あたしは考えてしまう。
もし自分が裁判員になったら、そして死刑求刑されるような事件を扱うことになったら自分は果たして死刑を言い渡すことができるのか。
死刑廃止を訴える人々は、「死刑は国家権力を利用した殺人行為だ」と言う。
自分が裁判員として死刑を望み、やがて加害者が死刑囚になり、後々死刑が執行される時、自分は平常心でいられるか。
考えただけでゾッとする。
自分がどういう立場にあるかによって死刑への考えも変わるんだろう、もし自分が遺族の立場になったら私も求刑として死刑を望むのだろう。
その人の立場になってみないとわからないから、今はうまく意見できないんだろうな。
ヨーロッパやアメリカでは死刑はとっくに廃止されていて、終身刑がある。
けれど、日本や韓国や中国などはまだ死刑が存在していて終身刑がない。
いつか日本も変わるのかな、そしていつか私も死刑に対してきちんと意見できるようになるんかいな。

この本読んで何が良かったかって、拘置所や刑務所の中身が少し見えたこと。
看守や刑務官の大変さは経験者でないとわからないんだろう。
そりゃそうだ、犯罪者を毎日監視して犯罪者(死刑囚)と関わって、ストレスが半端ないんだってほんと。
あたしも読んで知っただけで本当の意味ではもちろんわかってない。
でも知るだけでもいいから死刑について色んな人に興味を持ってほしいと思う。
この本の中で、経験者の話しをもとに死刑執行の様子をマンガで描いているページもあるから、そこだけでも読んでみるといいかもしれない。
そこで何か思うことがあれば少しでもきちんと考えてみるといいと思う。


東北地方太平洋沖地震で亡くなった方々、心よりご冥福をお祈り致します。
 自分に出来ることは、募金と献血と毎日を頑張って生きることしかない。

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